2011年6月26日日曜日

海外のソーシャルメディア系の事例を読む際に気をつけておきたいこと

最近ソーシャルメディアのマーケティングコミュニケーションにおける役割をきちんと考えようという空気が広がったのか、
海外のソーシャルメディアでのエンゲージメントの事例を紹介するブログが増えたように思います。
それ自体はベクトルとして正しい方向だと思いますし、
自分自身ソーシャルメディアでのエンゲージメントについては色々調べていたりしますが、
海外事例、特にエンゲージメント系の事例を調べる際に注意している点があります。

それは至極当たり前の事ですが、日本での再現性があるかどうかで、
エンゲージメント系の事例で言えば、日本での再現性は低いという前提でいた方がイイのかなと思っています。

そもそも米国は顧客サービスの質が悪くて、誤解を恐れずに言えば、ちょっと頑張ればそれが競争優位になる世界です。
「advocacyマーケティング」や「LTV」という考え方が米国で発祥したのも、
質の高いサービスを提供すれば、割と容易にリピーターになってもらえ、

更には日本よりもソーシャルメディアが発展しているので、それがクチコミで広がる可能性も高い。

一方で日本はサービスの質という点で言えば、多分相対的には相当優秀な国なんだと思います。
だからちょっとやそっとの事では競争優位性にはなりにくいんだと思います。

さすがに「アドボカシーマーケティング」で紹介されているような事例であれば、
ある程度顧客を感動させる事は出来るのでしょうが、ただこれには相応のリスクが伴うと思っています。






アドボカシーマーケティングというと、先ず事例として紹介されるザッポスですが、2008年の純利益はわずか1%で、従業員の8%をリストラして
銀行が融資を引き上げたら倒産するかも・・というところまできていました。投資していたベンチャーキャピタル企業や銀行には、「従業員や顧客をハッピーにすることに執心するのは、あんたの『社会的実験』だ」
とまで言われたらしい。(まぁ当然ですよね・・・)

じゃぁソーシャルメディアでエンゲージメントなんて考えない方がいいのかと言えば、
冒頭で述べさせて頂きましたが、決してそういう事ではなくて、
方向としては正しい戦略なんだと思います。

smashmediaの河野さんが紹介されているように
消費者はけっこうギリギリまで候補をしぼりこまないし、
一方でブランドとの信頼関係が築ければ
次回以降は選択プロセスを経ずに再購入するようになり、

「タッチポイント」の重み付けが変わってきていて、
買った後のマーケティングについてもちゃんと考えないといけない時代だと思うんです。


「再現性」という抽象的で便利な言葉で、結論を濁しますが、
要はこれに尽きるんだと思います。

そこを見極めてあげるのもエージェンシー側の仕事かなと。自戒もこめて。
(あっ、こいつ逃げたなと思った方、認めます。逃げましたww)

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