2011年8月8日月曜日

共感がキーワードの今だからこそ「共感なんてそう簡単にされるもんじゃない」

SIPSが発表されて以降、「共感」がキーワードになり、
色々なセミナーを聞いていてもほとんどで

「共感」については触れられていたりします。


自分自身そういう流れはagreeだし、こういう流れが
一時的なものにならないようにしていきたいと思っています。



ただ正直に言うと、「共感」というワードが
安直に語られ過ぎではないかと思ってます。

そもそも共感という感情は、感情の発生起源を辿ると、
最後発の感情で、
そう簡単に発生する感情ではなかったりします。


少し蛇足になりますが、共感という感情の発生起源について、
能書き垂れてみます。

生態系で極めて弱い立場にあった人間が、
自分が生き残る為の手段として「社会」を形成するという選択をしました。
ただ元々自己の生存と子孫を残すことしか考えていなかった人類にとって、
自己犠牲の伴う社会を形成するという行為は苦痛そのものでしかなく、
そこで罪悪感や共感という感情を覚える事で、
ようやく社会を形成出来る事が出来るようになりました。



謂わば社会を形成する上で、「やむを得ず」「仕方なく」生まれた感情で、
なかなかそう簡単に共感なんてしてもらえない。


更に、不安や怒りという人間本来の感情に比べて、
共感という感情は、人間の長期記憶になりにくく、
頑張ってプランニングして、共感してもらえるコンテンツが出来てたとしても、
一時的なお金の流れしか形成されず、
コストパフォーマンス的に割に合わないというケースになりやすい。


じゃぁ共感をキーワードにしたプランニングをするなって言いたいのかというと、
決してそんな事はなくて、寧ろ上記のようなハードルがあっても、
尚そこに挑むべきだと思っています。



自分が個人的に一つのモデルケースになると思っているのが、
ナイキの「ALL FOR JAPAN ~走ろう、日本のために~」
の企画です。



ナイキでは「NIKE+」というサービスを展開しており、
これは走行距離や位置を計測・記録するセンサーを
シューズやリストバンドで身に付けることで自分の走った
時間、距離などを記録し、ネット上に公開することができるサービスで、
このNIKE+の特性を生かして、ランナーの走行距離1マイルにつき、
1ドルをナイキが義援金として寄付するという企画です。
この企画のイイなって思っているところは、
生活者が品定めする際に感じる価値(value in exchange )の先にある、
シューズを実際に使用する事による価値(value in use )を
ユーザーに任せっきりにするのではなく、
サポートする仕組みが出来ていて、
そこの仕組みの中で共感の長期記憶化に挑戦している点です。


前述したように共感という感情は、
長期記憶に結びつきづらく、忘れられやすい。
であれば、つながり続けて、接点を持ち続る事で、
長期記憶化すれば良いのですが、これが結構難しい。
でも今回の企画は、見事に共感という感情の長期記憶化に
成功しているんじゃないかと思っています。

ただvalue in useの課題になるのは、
如何に将来の価値を具体的に描かせる事が出来るか?だと思っています。
人間は「1ヶ月後の1000円より、今日の500円を選ぶ」生き物で、
より近い将来の利益に強く動機付けられ、
どうしてもvalue in exchangeの価値が優先されてしまいます。
如何に両方の価値をバランスよく提示出来るか。

結局なんだかんだで課題を残した形になり、
はっきりとした解決策を提示出来ないままで終わってしまいますが、
「共感なんてそう簡単にされるもんじゃないし、長期記憶にもなりにくい」
この前提の上で、なおどうしたら共感してもらえるのか、
そしてそれが長期化出来るかに挑戦していきたいです。

2 件のコメント:

  1. 消費者が感じている「問題」を語り、その解を示せば、共感は得られると僕は考えています。

    例えば、乳がんを経験した女性とその家族は、「乳がん検診受診率の低さ」に問題意識を持っている傾向があります。

    彼らを共感させるには、乳がん検診受診率を高めることを助けるマーケティングキャンペーンを行うと良いでしょう。

    この例は幾分単純すぎて納得感がないかもですが、、またどこかで語りましょう。

    社会問題を解決しようとする企業は、これから応援され、共感されるようになるでしょう。こうした現象が「エリート消費」で終わるかどうかが、僕の関心でもありますね。

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  2. ハヤト博士、コメントありがとう!!
    さすがの指摘ありがとうございます。

    指摘もらっている点は、自分も書いてる途中で、
    なんとなく感じていましたが、エイヤーで書いてしまい・・・

    ただ世間一般の商材において、
    世間一般の人が問題意識を持ってる事って少なくて、
    かつ市場が成熟していると、人々を魅了するような
    ソリューションを提示するのも結構難しい。

    その点では強烈な問題意識を持っている人の
    集まりであるNPOって面白いんだろうなって。

    エリート消費で終わるか否かは、
    自分も興味深い点だったりしますね

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